「愛実!! ちょっとちょっと……!」


昼休みに、久美子が私の手を引き廊下に連れ出した。


「え、何? どうかしたの?」


目を丸くしている私に、久美子が遠くを指さしながら言った。


「あれ見て。
吉田君と一緒にいるのって二年生の牧野さんだよね?」


久美子の指先から視線を追うと、

そこには二人で歩いてる志則と牧野さんがいた。


校内で一番かわいいと言われている牧野さん。

だから話したことはないけど、名前だけは知っていた。



「牧野さんが三年生の教室まで来るなんて、
きっと吉田君に告白する気なんだよ!」


久美子の言葉に、胸がズキッと反応した。



「いいの? 止めに行かなくて……」



止める……?

私が止める必要なんてある?


それに、牧野さんが告白することを止める権利なんて誰も持ってないよ。