志則と久美子は、やっぱり一緒に居たらしく
二人で部屋に戻ってきた。
「おまえらどこ行ってたんだよ~!」
「そうだよ~! 二人が居なくなったから、高木君がいっぱい曲入れちゃったよ!」
高木君と理子に言われた二人は、
「ごめん。ごめん」って言いながら椅子に座った。
戻ってきた久美子は、いつも以上に明るかった。
テンションが上がっちゃうような曲をいっぱい歌って、みんなで盛り上がる。
志則はずっと選曲の本に目を向けていた。
二人は何を話したの?
何があったの?
俯いた志則は、私の顔を見ようとしなかった。
「そうだ、愛実ちゃんの携帯アドレス教えてくれる?」
「あっ、うん……いいよ」
志則に気を取られながら森君に返事をした。
森君にアドレスを言うと同時に、森君が私の携帯に着信を残した。
「卒業前にまた遊ぼうな」
「うん。そうだね」
森君の顔を見て答えている私は
森君の隣に座っている志則を、視界の端で見つめていた。

