久美子と森君は、カラオケに着くまでの数十分の間に仲良くなった。


すぐに友達になれる森君てすごい。

やっぱり小麦色の肌と白い歯のせい?

気さくに話す森君の言葉にある優しさが、自然と伝わってくるんだ。



「愛実ちゃん、また一緒に歌おうよ」

「うん! どの曲にする?」


森君と肩を並べて曲を選ぶ。

「これは?」

「ん~、あんまり知らないな」

「じゃあ、これなんてどう?」

「ん~~」

「愛実ちゃん、もしかして最近の曲知らないの?」

「ははっ、バレちゃった?」



選曲してて気づいた。

新曲のほとんどが知らない曲。


そういえば、最近音楽番組とか見てなかったからな~。

現代についていけてない感じがして、ちょっと恥ずかしい……。



「じゃあ、こっち見よう!」


森君は、去年の夏に流行っていた曲のページを見せてくれた。


「うん!」


森君が自分の好きな曲じゃなく、私に合わせてくれたことがなんだか嬉しかった。



選曲した曲をリモコンで送信した私は、それまで全く気づいてなかったんだ。

志則と久美子が居なくなっていたことに……。