卒業式の予行練習が終わって教室に戻っている途中、
森君が私のクラスの方に駆け寄ってきた。
「久しぶりにまたみんなでカラオケ行かない?」
ふざけて高木君に抱きついてる森君は、相変わらず夏を感じさせる小麦色の肌をしていた。
「いいねー。
今度は久美子ちゃんも一緒に行こうよ!」
「行くー!」
高木君の誘いに久美子は明るく答えた。
私と理子と小百合も手を上げて「行きたーい」ってはしゃぐ。
「じゃあ、ホームルーム終わったら教室に行くから待っててね!」
白い歯を見せて笑った森君は、軽い足取りで自分のクラスの方へ走って行った。
「志則ももちろん行くだろ?」
志則の首に腕を回した高木君の誘いに、志則は「う~ん」って首を傾げた。
「行くって言わなきゃ首締めるぞ~!」
「ぐっ、苦しい!!」
もがきながら高木君の腕を叩いている志則に、久美子が言った。
「吉田君が行かないなら、私行くのやめる~!」
「ほら~、おまえのせいで久美子ちゃんの気分が変わっちゃうだろ~」
「わかった、行くから離せ!」
咳き込む志則を見てみんなが笑い
クリスマスパーティーを思い出させるように、和気あいあいとしていた。
だけど、志則の顔だけは
咳き込んだ後も少し曇っていた。

