公園で志則と抱きしめ合った日から、

私は志則の消えない温もりを感じながら眠るようになった。



それからしばらくして、久美子が私に声をかけてくれた。


「おはよう」



今、私に言ってくれた?


後ろを見渡しても誰もいない。



私に、私に言ってくれたんだよね……?


「おはよう」



嬉しくて朝から泣き出しそうになる。


笑顔を向けてくれる久美子に抱きつきたかった。



「愛実、英語の訳やってきた?」

「ううん。学校でやろうと思って早く来たんだ」

「私も~」



久しぶりに久美子と並んで座った。

久美子は何もなかったかのように、明るく話しかけてくれる。



このまま仲直りしてくれる?

何もなかったように、仲良くしてくれるの?


言えなかった思いを伝えるなら、まだ教室に誰も来てない今しかない。


だけど話を掘り返したら

また久美子は遠くに行っちゃう……?



英語を訳している私の頭の中は違うことで一杯になってた。