魔恋奇譚～憧れカレと一緒に王国を救うため、魔法使いになりました

「村人の大切な食糧なのに、すみません」
「いいのよ。それじゃ集めてくるから待ってて」
「集めてくる？」

　マスター・クマゴンの言葉に勇飛くんが怪訝そうな表情になる。

「そうよ。あたしが作ってるわけじゃないんだから」
「快く分けてくれるかな」

　心配そうな勇飛くんに、マスター・クマゴンが胸をドンと叩いて言う。

「このあたしが頼めば、何だってオッケーよ」
「そ、そうですか」
「あんたたちも準備があるんでしょ。商人の衣服とか水とか揃えなさいな」

　そうだった。

　私たちは食事を終えて食器の片付けを手伝うと、マスター・クマゴンをダイニングに残して自分たちの部屋に向かった。私の部屋の前に着き、「じゃあ、あとで」と言ったとき、勇飛くんが私を頭のてっぺんからつま先までまじまじと見た。

　な、何？　私、そんなに見苦しい？

　太ももを隠したい気分になってもじもじしていると、勇飛くんが考えるようにしながら言う。

「その服、かわいいけどやっぱり実用的じゃないね」
「や、やっぱりそう思うよね」

　実は私もこんな衣装を選んだことをずっと後悔してたんだ。