魔恋奇譚~憧れカレと一緒に王国を救うため、魔法使いになりました

「そう、残ったのは若くて未熟なあなたたち二人だけ」

 マスター・クマゴンが言って、勇飛くんがうなずく。

「つまり、人間よりも力のあると考えられている者たちが、亡き者にされているということだ」
「あんまりよくわからないんだけど……」

 私の言葉に、勇飛くんが答える。

「もっとはっきり言うと、王かあるいは王城の誰かの目的は、脅威となり得る者たちを排除することなんだと思うんだ」
「それって……」
「つまり、あんたたちは力があるから狙われてるってことよ」

 マスター・クマゴンの言葉が消え、沈黙がダイニングを支配する。

「でも、私は出来損ないの魔法使いだし」

 重苦しい沈黙に耐えきれなくなって、私はつぶやくように言った。

「そうよ、だから行かせたくないの。もっと強くなるまで手元に置いておきたい」

 マスター・クマゴンの言葉に、勇飛くんが首を振る。

「俺たちはまだ若くて未熟です。けれど、このままここで手をこまねいているわけにはいかないんです。このままでは国中の人々が冬を越せませんよ」

 マスター・クマゴンが何も言わないので、勇飛くんが続ける。