勇飛くんが石塀に両手を置いて、身軽にひょいと飛び上がった。そうして私のすぐ横に腰を下ろす。今日の彼は鎧は着けておらず、麻のシャツと紺色に染められたズボンという楽そうな格好だ。
「村で三日過ごして気づいたんだけど、剣士が尊敬されているのは力が強いからだと思ったんだ。実際に、子どもたちに“剣を教えて”ってよくせがまれる。でも、力だけ磨いても争いは絶えない。だから、俺は礼も身につけてほしいと思ったんだ」
勇飛くんは偉いなぁ。私なんて自分のことしか考えてない。
「ユウヒくんって」
「うん?」
「この状況にすっかり順応しているように見えるんだけど、そんなことない?」
私の問いかけに、彼はちょっと笑った。
「そう見えるかな?」
「うん」
「たぶん……一人だったら無理なんじゃないかな」
「どういうこと?」
「一人じゃないからやっていけてる」
「だったら、一緒にいるのが、たとえば野々香とか涼太くんでもいいの? 私じゃなくても誰でもいいから、誰かがいてくれたらいいってこと……かな?」
やだ、私ってば。こんなこと言ったら、私が一緒にいてるからだって言ってほしがってるってバレバレじゃない!
「村で三日過ごして気づいたんだけど、剣士が尊敬されているのは力が強いからだと思ったんだ。実際に、子どもたちに“剣を教えて”ってよくせがまれる。でも、力だけ磨いても争いは絶えない。だから、俺は礼も身につけてほしいと思ったんだ」
勇飛くんは偉いなぁ。私なんて自分のことしか考えてない。
「ユウヒくんって」
「うん?」
「この状況にすっかり順応しているように見えるんだけど、そんなことない?」
私の問いかけに、彼はちょっと笑った。
「そう見えるかな?」
「うん」
「たぶん……一人だったら無理なんじゃないかな」
「どういうこと?」
「一人じゃないからやっていけてる」
「だったら、一緒にいるのが、たとえば野々香とか涼太くんでもいいの? 私じゃなくても誰でもいいから、誰かがいてくれたらいいってこと……かな?」
やだ、私ってば。こんなこと言ったら、私が一緒にいてるからだって言ってほしがってるってバレバレじゃない!


