魔恋奇譚~憧れカレと一緒に王国を救うため、魔法使いになりました

「不思議なんだけど、俺はいつもセリから目が離せないんだ。次に何をやらかすんだろうって気になるんだよ」
「それって……私がドジだから保護者みたいな気持ちになってるの?」
「違うよ、そんなんじゃない」

 彼は私だけを見つめてくれている。すごく嬉しい。すごく嬉しいけど……でも、これは魔法のせい。勇飛くんは本心で言ってるんじゃない。私が魔法をかけたから、好きだって言ってくれているだけ……。

 それに気づいて悲しくなってきた。こんなことをして勇飛くんの気持ちを弄(もてあそ)んだ自分が許せない。

 私の目が潤んだのに気づいて、勇飛くんが整った顔を傾けた。

「セリ、どうした? 俺が困らせてる?」
「そ、んなことない。私が悪いの……」
「セリは何も悪くないよ」

 勇飛くんが右手を伸ばして私の頬に触れた。彼の顔が近づいてきて、熱い息が私の唇にかかる。

「セリ」

 かすれた声で名前を呼ばれた直後、私の唇に彼の唇が重なった。

 勇飛くんのことは好き。大好き。でも、こんな偽りのキスはほしくない!

 そう思った瞬間、目から涙がこぼれた。