魔恋奇譚~憧れカレと一緒に王国を救うため、魔法使いになりました

「えっと、魔法図書館さんの話だと、杖を持って呪文のスペルを綴らないと魔法は発動しないんだよね」

 私は杖を取り出し、指揮棒のように持つ。

「インフレイム!」

 そう言ってスペルを綴った。しばらく待ったけど、何も起こらない。

「炎よ、あの草を燃やせ。インフレイム!」

 杖を指揮棒のように振ってスペルを書いた。それでも、目の前の枯れ草は燃えない。

「えー、何よう、もう」

 私は腹立ちのあまり杖をぶんぶんと振ったが、やっぱり何の変化も起きなかった。

「はーあ。やっぱり私、魔法の才能なんてないんだよ。書道なら八段なのにな~」

 筆を持つように杖を持ち、さらさらとインフレイムと書いた。とたんに目の前の枯れ草がボッと燃え上がる。

「きゃー、何っ」

 火事になっちゃう!

 あわてて草を引っこ抜いて川に投げ入れた。草が燃えつき煙を上げながら川面に落ち、波紋が広がる。

「ふぅ」

 冷や汗掻いちゃったよ。

「杖の持ち方が違ったんだぁ。それにしても、筆と同じ持ち方をするとはねー」

 焦ったけど、私でも魔法が使えるらしいことがわかってホッとする。