魔恋奇譚~憧れカレと一緒に王国を救うため、魔法使いになりました

「かわしたよ」

 勇飛くんは笑い声を上げながら、魔法が飛んでいった先を見るように背後を見た。けれど次の瞬間、彼の笑い声がピタリとやむ。その視線の先を追って、私も息を呑んだ。ジャグリングをしていたパフォーマーのクラブが空中で停止しているんだもん!

「あれ?」

 パフォーマーが不思議そうな声を上げた直後、クラブがバラバラと落ちてきた。パフォーマーが取り損ねたクラブが地面を叩いて跳ねる。

 私と勇飛くんは顔を見合わせてからつぶやく。

「まさか、ね……」

 私が呆然としたまま手の中の杖を見つめていると、「隙あり」と勇飛くんの声が聞こえて、唇にさっとキスされた。

「もう」

 見上げた彼は照れくさそうに笑っていた。

 キャラが崩壊していると思ったけど、こういう勇飛くんもいいな。

「行こうか、世里」
「うん」

 私は彼が差し出してくれた手をギュッと握る。

 これからもずっと一緒にいようね!


《了》