魔恋奇譚~憧れカレと一緒に王国を救うため、魔法使いになりました

 そのときの勇飛くんのどこかぎこちなかった表情と仕草を思い出した。

「あれ、演技だったんだ」
「下手で悪かったな」

 笑みをこぼす私に勇飛くんがちょっと不機嫌そうに言ったけど、私は嬉しかった。だって、ファーストキスが偽物じゃなかったってわかったんだから!

 私の目が潤んでいるのに気づいて、勇飛くんがあわてたように言う。

「ごめん、世里にキスできるチャンスだと思ったら、どうしてもしたくなってしまって」

 彼の頬にさっと赤みが走る。

「今日だって思い切って世里をデートに誘ったものの、世里が好きになってくれたのは、現実世界の俺じゃなくて、ゲームの中の俺なんじゃないかって不安で……」

 そっか、勇飛くんも私と同じで不安だったんだ。

「ゲームの世界の勇飛くんも強くて優しくてカッコイイ剣士だったけど、現実世界の勇飛くんも凛々しくて思いやりがあってステキな剣士だと思う。それに、一緒に冒険したからこそ、いろいろな勇飛くんが見られたんだもん。すごく怖い思いもたくさんしたけど、普段見られない勇飛くんが見られて得した気分かな」