魔恋奇譚~憧れカレと一緒に王国を救うため、魔法使いになりました

 私がそんなことを思っているせいか、勇飛くんとの間には相変わらず微妙な距離が空いている。私たちは黙ったままウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッターのエリアに着いた。

「わあー、すごい!」

 映画の中に登場する石造りの重厚な建物が並ぶエリアは、ここが日本だってことを忘れさせてくれる。さっきまでの悩ましい気分は吹き飛んで、なんだかドキドキしてきた。ストリート・エンターテイメントを行うパフォーマーも、映画の登場人物と同じ衣装に身を包んでいる。

 私はワクワクしながら勇飛くんを見上げた。

「私ね、一番先に行きたいところがあるんだけど!」

 私を見て、勇飛くんがホッとしたような笑顔を見せた。もしかして、勇飛くんも何か気を遣ってたのかな?

「いいよ、レストラン?」
「違うよ」

 私はぷっと頬を膨らませる。

「杖を売ってるお店に行きたいの」
「なるほど。でも偽物だよ?」
「わかってるよー」