魔恋奇譚~憧れカレと一緒に王国を救うため、魔法使いになりました

 勇飛くんに訊かれて、私たちは比較的空いてそうなジュラシック・パークのエリアに行った。水濡れ対策にポンチョを着て、ジュラシック・パーク・ザ・ライドのボートツアーに参加する。熱帯雨林を進むボートから探検気分を味わっているとき、突然巨大な恐竜が現れて、前に座っているカップルの女の子が、悲鳴を上げて彼氏に抱きついた。彼氏の方もまんざらでもないって顔で彼女の肩を抱いてあげている。あーあ、いいなぁ。

 横に座っている勇飛くんをチラッと見たけれど、彼は普段の冷静な顔をちょっとだけ紅潮させて、ライドを楽しんでいるみたい。彼との間に空いた距離がなんだか切ない。

 ライドが終わってボートから下りるとき、勇飛くんが手を貸してくれた。

「世里、気をつけて」

 わあい、このままずっと手をつないじゃおう、と思ったけど、ボートから下りると手を解かれてしまった。

「そろそろ魔法の世界に行こうか」

 勇飛くんに言われて、私は腕時計を見る。

「そうだね」

 間もなく指定された時間になる。楽しみなアトラクションなのに、なんだかイマイチ心が浮き立たない。