魔恋奇譚~憧れカレと一緒に王国を救うため、魔法使いになりました

 ネフライトがまた一歩私に近寄った。

「悲しい人……」

 私のつぶやきに、彼があざけるような笑いを返す。

「それが最期の言葉か? 不快な無駄口を永遠にきけなくしてくれる」

 そうして右手を振り上げた。

「あらゆるものに勝る金剛の剣よ、この者の心臓を貫け! アダマスパイク!」

 ネフライトの右手にダイヤモンドのように光り輝く短剣が現れた。やつがそれを振り下ろす。

 もうダメ!

 ギュッと目をつぶったとき、「セリ!」と勇飛くんの声が聞こえた。ハッと目を開けると、彼が私に覆い被さってくる。

「ダメッ! 逃げて!」

 けれど動く間もなく、短剣が勇飛くんの背中に振り下ろされた。それはまるでスローモーションのように勇飛くんの鎧を突き破り、彼の背中へと沈み込んでいく。鮮血が吹き出し、視界が赤くにじむ。

「いやぁぁぁぁ!」

 勇飛くんの顔が苦痛にゆがみ、ぐったりと私にもたれかかってくる。

「しっかりして、ユウヒくん!」

 私が両腕で抱き留めると、彼は力なく微笑んだ。

「遅くなって、ごめん……。無事か?」
「うん、勇飛くんが守ってくれた! 守ってくれたから!」

 私の目から涙がポロポロこぼれて勇飛くんの頬を濡らす。