安堵のため息をついて視線を落としたとき、自分の着ているものが見えて唖然とした。だって、自分で設定したあの恥ずかしいミニワンピ風のコスチューム姿なんだもの!

 ひえー。

 フリルたっぷりの裾を引っ張って太ももを隠そうとしたけど無駄だった。スパッツのようなものを履いているから、下着は見えないけど、部活は書道部で体育以外は運動をしていない私の締まりのない太ももが丸見えだ。

「杖はなくさずに済んだな」

 勇飛くんが私に魔法の杖をぽんと投げた。それを受け取って腰紐の間に差して立ち上がる。

「ありがとう……」

 心許ない気分で勇飛くんに並んだ。彼は腰に手を当て、私をじっと見る。

「本当に使えないんだな」

 その言葉が胸に刺さった。まったく知らない世界に来てしまったうえに、勇飛くんに役立たずだと言われるなんて。確かにその通りなんだけど、その事実は今の私にはどうしようもないことだ。悲しくて途方に暮れて、目に涙がにじんできた。

「そんな言い方しなくてもいいじゃない……」

 つぶやくような私の声に、彼が「え?」とこっちを見る。