魔恋奇譚~憧れカレと一緒に王国を救うため、魔法使いになりました

「この国の身分制度は間違ってる。確かにそう思う。でも、それ以上に間違ってるのはあなただわ。力でも魔法でもお金でも人の心は動かせない!」
「おまえの方こそ間違っている。そんなのはきれい事だ。周りをよく見てみろ、金で動く人間ばかりだろうが」

 ネフライトが吐き捨てるように言った。

「それは言い過ぎだわ。確かに何よりもお金を大切にする人もいる。でも、誰もがそうだというわけじゃないわ」
「ほざけ!」

 彼の怒鳴り声とともに、私は見えない力で壁に叩きつけられた。全身バラバラになりそうに痛くて、悲鳴も出せない。

「か……はっ……」

 壁をずり落ち床に両手をつく。私の視界に、太い足でぱんぱんに膨らんだ編み上げブーツが入ってきた。見上げなくてもわかる。ディヴィナの足だ。

「ネフライト様、この小娘は私が殺(や)っても構いませんか? 最初から生意気で気にくわなかった」

 ディヴィナに問われて、ネフライトがそっけなく答える。

「好きにしろ」
「あんたみたいな小娘、ネフライト様が手を下すまでもないわ」