魔恋奇譚~憧れカレと一緒に王国を救うため、魔法使いになりました

 私は石畳の小道を小走りで進み、石段を駆け上がって城の中に入った。毛足の長い豪華な絨毯の敷かれた廊下を急ぎ、大広間の扉の前に来る。心臓は不安のあまり破れそうなくらい激しく打ち、額に汗が浮かぶ。

 どうか、すぐに勇飛くんたちが来てくれますように!

 それを信じて、私は扉を開けた。

 目の前には、使いコウモリを通して見たのと同じ光景が広がっている。

「来たわよっ。陛下の呪文を解きなさい!」

 私が大声で言うと、テーブルの本来なら王が座るべき上座に着いているネフライトが、笑い声を上げた。

「ここに来たのは褒めてやる。だが、私は来たら王の呪文を解いてやるなどとは、一言も言っておらん」

 ネフライトの言葉に私は歯ぎしりをする。

「卑怯者!」
「罵る相手が違うだろう。王など見捨てればよいものを、身の程知らずにも救おうと考えた愚かな自分を罵るんだな」
「国王様、国王陛下! しっかりしてください!」

 私が呼びかけても王様は何も答えず、表情を苦痛にゆがめながら、うつろな目で自分の喉に短剣を押し当てている。

 その様子を見て、ネフライトが薄笑いを浮かべた。