魔恋奇譚~憧れカレと一緒に王国を救うため、魔法使いになりました

 使いコウモリは静かに飛んで、金の装飾が施された豪華な扉の前に来た。そこが明かりの漏れている部屋だが、扉はしっかりと閉ざされている。そこから入ることは諦めて、いったん外に出ると、開いている窓から中へと入った。

 その部屋は大理石でできた暖炉のある大きな広間で、床には毛足の長い豪奢な赤い絨毯が敷かれている。白いテーブルクロスのかけられた長テーブルの上には、彫りの豪華な銀の燭台、果物カゴ、パンのカゴ、葡萄酒の瓶がある。そして分厚い肉料理を頬張る、樽のように大きな体のディヴィナ。その横に座っているのは、背は高いが痩せた鋭い目つきの男。彼がネフライトだろうか。

 そう思ったとき、ディヴィナがフォークを持つ手を止めて彼に話しかけた。

「ネフライト様、あの剣士と魔法使いの小娘を、いつ始末するおつもりですか? まだガキとはいえ、剣士はなかなかの腕前でしたよ」

「案ずるな。いずれ向こうからやってくる。やつらをおびき寄せるために、アイネアスの使いコウモリに偽のメッセージを届けさせたのだからな」
「では、国王とガキ、どちらを先に殺(や)るのですか?」
「ふむ……」