チラリと見たが、頭の弟はまだ混乱中で実の兄に斬りつけようとしていて、それをもう一人の男が必死で止めている。
「もう旅人を襲ったり悪いことをしたりしないって約束するなら、魔法を解いてあげてもいいけどな~」
「するする! 約束する! 真面目に働くよ! だから弟を元に戻してくれぇ。唯一の肉親に殺されるなんて、あんまりだぁ」
頭の涙混じりの声を聞きながら、私は無言で魔法の杖を振った。ほぼ同時に呪文の効果が切れたようで、頭の弟が青ざめながらガランと剣を落とす。
「俺はなんてことを! 兄貴……許してくれぇ!」
「弟よ~」
抱き合って泣く盗賊たちを見て、私はホッと息を吐いた。
元は真面目な人たちだったのかもしれない。だけど、この凶作で食糧や仕事がなく、やむにやまれず人から奪って生きるという選択をしたのかも……。
そんなことを思っていると、旅人夫婦が私たちに走り寄ってきた。
「ありがとうございます!」
「いいえ。お怪我はありませんか?」
勇飛くんの問いかけに、夫の方が首を振る。
「大丈夫です。危ないところを助けていただき、いくらお礼を申し上げても足りないくらいです」
「もう旅人を襲ったり悪いことをしたりしないって約束するなら、魔法を解いてあげてもいいけどな~」
「するする! 約束する! 真面目に働くよ! だから弟を元に戻してくれぇ。唯一の肉親に殺されるなんて、あんまりだぁ」
頭の涙混じりの声を聞きながら、私は無言で魔法の杖を振った。ほぼ同時に呪文の効果が切れたようで、頭の弟が青ざめながらガランと剣を落とす。
「俺はなんてことを! 兄貴……許してくれぇ!」
「弟よ~」
抱き合って泣く盗賊たちを見て、私はホッと息を吐いた。
元は真面目な人たちだったのかもしれない。だけど、この凶作で食糧や仕事がなく、やむにやまれず人から奪って生きるという選択をしたのかも……。
そんなことを思っていると、旅人夫婦が私たちに走り寄ってきた。
「ありがとうございます!」
「いいえ。お怪我はありませんか?」
勇飛くんの問いかけに、夫の方が首を振る。
「大丈夫です。危ないところを助けていただき、いくらお礼を申し上げても足りないくらいです」


