男の子の問いかけに私は目を見張ったが、勇飛くんが優しく答える。

「怖くないよ。セリは俺の大切なパートナーだ」
「パートナー?」
「そうだよ。いつも俺のそばにいて助けてくれる、大切で必要な人なんだ」

 勇飛くんは男の子の方を見ているので、彼の表情はわからない。でも、その心が温かくなるような口調が、たまらなく嬉しい。たとえ彼の言葉が、剣士にとって不可欠な魔法使い、という意味だとしても。

「でも、魔法使いは悪い魔法を使って僕たちをいじめるってお母さんが言ってたよ」

 勇飛くんが手を止めて、男の子を正面から見つめた。

「悪い魔法使いもいる。今、キミたちやキミたちのお父さん、お母さんを苦しめているのは悪い魔法使いだ。でも、みんながみんな悪い魔法使いなんじゃないよ。怪我や病気をしたときに、治してくれる魔法使いもいるだろう? 良い魔法使いか悪い魔法使いかは、誰かの言葉じゃなく、キミ自身が見て考えてごらん」

 勇飛くんに言われて、男の子はおそるおそる私を見た。私が精一杯の笑顔を作ると、男の子がにこっと笑い返してくれた。