魔恋奇譚~憧れカレと一緒に王国を救うため、魔法使いになりました

「ぎゃはは……ぶはははっ」

 だんだん崩れていくおかしな笑い声を聞きながら、私はハタキで掃除を続けた。なんだか楽しい気分になって、鼻歌を歌いながら手を動かす。

 下の段まではたき終えたときには、床にはほこりが積もっていた。

「ひゃー、塵も積もれば山となるとはよく言ったものね~」

 そのままホウキで掃けばほこりが舞い上がりそうなので、手で少しずつ水をすくって床にまいた。そうしてゆっくりホウキを動かして、ほこりや舞い込んできた枯れ葉を集める。ゴミをドアから外に出してまとめたら、次は拭き掃除。バケツで雑巾を洗っていると、ドアから差し込んでいた細長い光が誰かの陰に遮られた。顔を上げたら、逆光の中、シャツとズボン姿の勇飛くんが立っている。

「どうしたの?」

 私は立ち上がって彼を見た。

「ソードマン・ハウスに戻ろうと思って通りかかったら、セリの姿が見えたから。掃除?」
「うん。図書館さんに、感謝の気持ちを込めて掃除をしてるの」
「手伝おうか」

 彼が一歩中に入ってきたので、私は雑巾を持った手を軽く上げた。

「ううん、いいよ。ユウヒくんはほかにやることがあるでしょ?」