魔恋奇譚~憧れカレと一緒に王国を救うため、魔法使いになりました

「そう。攻撃や防御、治癒なんかのいろんな魔法が載ってるの、ある?」

 私の言葉にしばらく返事はなかったが、やがて書棚の上の方から、文庫本サイズの薄い本が一冊ふわりと降りてきた。

「ありがとう」

 受け取ってパラパラめくってみると、インフレイムなどの知っている魔法のほかに、たくさんの魔法について簡潔に書かれている。防御も治癒も項目ごとに分けて書かれていて、読みやすそう。

「前に渡した初級魔法から、最も高度と言われる禁断の呪文、アナバイオーシスまで載っておる」
「アナバイオーシス?」
「魔法使いの命と引き替えに、剣士の命を助ける呪文じゃ」
「すごい」
「最上級呪文じゃよ。使わずにすむことを祈っておる」
「ありがとう」

 私が小さく本を掲げてみせると、寂しそうな声が降ってきた。

「また行くのかの」
「うん。王様を助けに行かないと」
「そうか。気をつけていくんじゃぞ」
「うん。いろいろありがとうね」

 私はお礼を言うと、勇飛くんを促して外にでた。勇飛くんは狐につままれたような表情をしている。勇飛くんの方が順応性があると思ってたから意外。