魔恋奇譚~憧れカレと一緒に王国を救うため、魔法使いになりました


 マスター・クマゴンが手配してくれたのは一頭立ての荷馬車で、樽などを運ぶため、荷台は十分に広かった。クマゴンが設(しつら)えてくれた簡易ベッドに横になった私は、日除けの幌の隙間から覗く青空を眺めながら、御者の横に座っているマスター・クマゴンに話しかけた。

「マスター・クマゴンは本物のアーマントゥルードさんのことは知ってるの?」
「ええ」
「どんな人だった?」

 少しの沈黙の後、マスター・クマゴンが話し始めた。

「カルサイト村の出身で、コランダムの村に来て剣の修業をして剣士になったのよ。故郷に戻って魔法使いとパーティを組み、王国の民を困らせている魔物を退治したいと言ってたわ」
「じゃあ、ディヴィナの話は本当だったんだ」
「あんた、自分で暴露魔法のブローザガフォンをかけたんでしょう?」
「そうだけど、中級魔法だから、ちゃんと発動したのか効果の程に自信がなくて」
「呆れた」

 心底呆れたような声で言われたけれど、気にせず尋ねる。

「それからどうなったの?」
「三年前にネフライトと組んで旅に出て、しばらく消息はわからなかったけど、一年ほど前に戻ってきたわ」