「さあ? でも、子どもって病気や怪我をしたときは甘えてワガママになるって言わない?」
「ああ、なるほど。子どもってそうよね」

 子ども子ども言うな~。

 恨めしい気分で二人にチラリと視線を向けたとき、勇飛くんがベッドに片膝を乗せて上がってきた。ギシッと音がして、彼が私の顔を囲うように両側に手をつく。

「何?」

 上から覗き込まれてドキンとする。いきなり顎をつままれたかと思うと、彼の顔が迫ってきて、次の瞬間には口づけられていた。

「んっ」

 マスター・クマゴンの見てる前で何を! と思ったとき、口の中に苦~いどろっとした液体が注ぎ込まれる。

「んーっ」

 苦くて吐き出したいのに、勇飛くんに顎をつままれて固定されているうえに唇をふさがれていて、吐き出すことができない。

「んーっ、んーっ!」

 そのうち息苦しくなってきて、ついにごっくんと飲み込んでしまった。喉が焼けるように熱くなったが、熱はすぐに治まった。それでもまだチクチクした痛みが残っている。

「気分はどう?」

 勇飛くんが唇を離して私の顔を覗き込んだまま言う。

「最悪」