魔恋奇譚~憧れカレと一緒に王国を救うため、魔法使いになりました

「お嬢ちゃんの方が戻ったらいいんじゃない? 魔法使いなんかいなくても、あたしたち二人で十分だと思うわ。ねえ?」

 彼女に視線を向けられた勇飛くんが、顎から手を離した。

「実は今回は見ての通り、商人のふりをして王城に潜り込むつもりで来たんです。一見して剣士と魔法使いとわかる二人組は、あなたの言う通り、これまでに何度も襲撃を受けて命を落としています。ですから、あなたも剣士とわからない格好をしてほしいんです」

 勇飛くんの言葉に私は目を見開いた。それって彼女が一緒に来ることをもう認めちゃってない!?

 ますます頬を膨らませる私を見て、アーマントゥルードさんがまたクスッと笑った。

 なに、その余裕の笑み! 腹立つ~!

「それじゃ途中でカルサイトの村に寄りましょうか。あそこで服を手に入れるわ」
「セリもそれでいいね」

 勇飛くんが私をチラッとだけ見て言うと、アーマントゥルードさんを促して歩き出した。

 それでいいね、なんて選択の余地ないじゃない。

 マスター・クマゴンは“むやみに他人を信用しないように”って言ってたでしょ。いくら美女でいくら剣士だからって、そんなに簡単に信用していいのっ!?