魔恋奇譚~憧れカレと一緒に王国を救うため、魔法使いになりました

 恐ろしい鳴き声を上げて、双頭の獅子がその場にどうっと倒れた。シュウシュウと音を立て、全身から白い煙を上げたかと思うと、その姿はかき消すように見えなくなった。

「どうやら誰かが召喚した魔物のようね」

 そう言って紫色の血のついた剣を振って鞘に収めたのは、カールした赤毛が背中まで伸びた、緑の瞳でぽってりした唇の超絶美女だ。テレビゲームやハリウッド映画に登場する女戦士のように、やたら胸が大きくてウエストは細くて、必要最低限のところしか鎧で隠していないスーパー・ダイナマイト・セクシー女剣士……。

「ありがとうございます」

 勇飛くんは剣を収めて背負い袋を拾い上げ、女剣士に近づいた。

「あなたは剣士ね。それにそっちの坊やは魔法使いかしら」

 彼女の緑の目が私を見た。

「ぼ、ぼ、坊やって!」

 そりゃ、あなたと比べたら出るとこもそんなに大げさに出てないし、引っ込むところもちょこっとしか引っ込んでないけどっ! でも、言うに事欠いて坊やとはっ!

 目を見開いて抗議しようとした私を、勇飛くんが「まあまあ」と制止した。

「そういうあなたは何者なんです?」