「でも……どうしましょう。お母さんも機嫌損ねちゃったし。今、お父さんの部屋に行っても愛人さんに会うだけだし……」 「だったら、先に頂こうじゃありませんか。」 叶亜が口元を引き上げた。 「頂くって……何をです?」 詩音が目を丸くして聞くと、 『君は単細胞生物のミドリムシ以下だな』 と口パクで返ってきた。 何か言い返してやろうと口を開いたが、それより先に叶亜が言った。 「夕飯ですよ。こんな大きなお屋敷の事ですから、優秀なコックでも揃っているんでしょう?ねえ?お嬢さん?」