その怒りを母に何度もぶつけた。

小さい頃からずっと優しくしてきてくれた母に。

『お母さんさ、なんでお父さんと別れないの?お父さん、女を取っ替え引っ替えしてるんだよ?お母さんも知ってるでしょ!』

『大丈夫よ。詩音。お母さんは全然平気だからね』

そう言って私を優しく抱き締めてくれた母。

でも、その言葉が全て遺産目当ての偽りの言葉だったら……。