薔薇の夢をあなたに

「姫様。今までの御無礼をお許しください。改めて、俺は国王直属の騎士団【深紅の薔薇】団長のデイヴィスです。我らの部隊は通称【赤の団】と呼ばれています。主に国内の治安維持、緊急事態の軍事を担っています。」







「同じく、騎士団【漆黒の薔薇】団長レイでございます。【赤の団】と対をなす【黒の団】は魔法の特殊部隊。主に重要人や重要財の警護、管理そして緊急時には戦闘員としても活動してきた魔法騎士団です。」







「私ロゼットは、【黒の団】副団長を務めております、レイ様直属の部隊員でございます。」









3人は一通り自己紹介をすると、疑うように私を覗き込んでくる。
私はスッと深呼吸して応える。
「ええ、大丈夫。ちゃんと把握しているわ。だいぶ記憶は馴染んできたみたい。」









安堵のため息をつくデイヴィス。
「では、確認していきましょう。私たちもレイが今まで3年間,何をしていたか全く把握できていないのは同じなので。」








レイの眉がぴくっと動く。
「それは僕にとっても同じこと。さぁ、デイヴィス。君の3年間を聞かせてもらおうか。」









デイヴィスは、その声にうなずくと語り始めた。








「俺たちはレイの空間移動魔法で、ここ【太陽の国】から北に遠くはなれた【月の国】に飛ばされた。赤と黒の騎士団からそれぞれ数人の精鋭が同じく飛ばされていた。




しばらくは、ロゼットの結界の中で傷を癒しながら様子を見た。
数日たつと【太陽】付近に集まっていた魔族の気配がほとんどなくなったので、俺たちは旅を始めた。旅芸人に身をやつしたのはロゼットの案だ。」










「はい。私たちのような極端に戦闘力の高い集団が身を隠すに最もちょうどいいと考えたからです。芸人であれば、高い身体能力も理解しやすいですし、何よりこんな派手な集団が王女をかくまっているとはだれも思いません。」











緊張した面持ちで語るロゼット。追い込まれた状況ではとても思いつかないような突拍子もない策だ。
普通、王女を守るとなったらひた隠しにするのが無難な策だろう、そこをあえて目立つ一味の中で…。改めて彼女の聡明さと度胸に驚かされる。