薔薇の夢をあなたに

私は大広間を目指した。
外を見ると、すっかり日は沈み星空が輝いていた。







レイとピクニックに行っていた午前中が、もう何日も前のことのように感じた。
私は、白いブラウスと黒のぴったりしたズボンに着替えていた。
足元も履きなれたブーツにした。








広間に行くと、既にデイヴィス、ロゼット、レイがそこにいた。
レイは一瞬私の変化に目を開いたようだったが、すぐに元の冷静な表情に戻る。








「ここではなんだから、執務室に移りましょう。」
覚醒からしばらく時間を置くと、不思議なほど頭がすっきりした。
私はお父様が政務の際に使っていた、執務室にみんなを導いた。








みんなが部屋に入るのを確認すると、入り口のすぐ横に描かれている小さな魔方陣に手を置く。
「我らに仇なすすべての者から、隠せ…」
小さく詠唱し、魔力を送る。
ぽうっと部屋全体が輝いて、すぐにおさまった。
「これで、盗み聞きされる心配も侵入される心配もないわ。さぁ、始めましょう。」







「姫様…本当に姫様なのですね…。」ロゼットが複雑そうにつぶやく。
少し胸がチクっと痛む。
元通りに戻っただけなのに、もうロゼットは私を呼び捨てでは呼んではくれない…。
もう前みたいな友達みたいな態度はとってくれないの…?









私は軽く頭を振る、今はそんなことで迷ってる場合じゃない。
「今、3年前の魔族による襲撃を受けた日のことまでは思い出しているつもり。でも、まだまだ分からないことばかりよ…今世界では何が起こっているの?」







私は中央の応接台の椅子にこしかける。それを見て、部屋にいる全員が着席した。