薔薇の夢をあなたに

「封印の口づけか…随分強引だな。」
デイヴィスの声を聞き流しながら、椅子で眠る麗しい姫君を見下ろす。
どうやらうまくいったようだ。







「君の【赤の団】から数名、僕の【黒の団】から数名、護衛をつける。
今最も人口の少ない【月の国】の方角に送るつもりだ。後はうまくやってくれ。」







再び城の方角からすさまじい爆発音がする。チッ、少しは大人しくしてろ…
僕は急いで魔方陣を用意する。







安全に早く運ぶため、複雑な陣を展開する。
空間移動魔法。僕にしか使えない最高難度の魔法だ。







「レイ、ジュリエット様は任せてくれ。必ず守る。」
「当然だ。もし姫に何かあれば僕がお前を八つ裂きにしてやる。」
「お前が言うと、冗談に聞こえないぜ。」








不安そうな顔のロゼットが青白い顔で、必死に涙をこらえている。
「魔法使いとして、姫をお傍で支えるんだ。僕の代わりに…頼んだよ…」
黙ってうなずくロゼット。








眠る姫を横抱きにしたデイヴィスとロゼットを魔方陣の中に入れる。
「行くよ。」
僕は、自分でも信じられないほどのスピードで正確に呪文を詠唱した。
次の瞬間、その山小屋には僕しかいなくなった。







自分の唇をそっとなぞる。
一瞬目を閉じて、開く。その瞳には青い炎が宿っていた。