薔薇の夢をあなたに

「おやすみ。ジュリエット。」

「おやすみなさい。レイ。」

レイはいつものように私の体に癒しの魔法を施すと、颯爽と部屋を出て行ってしまった。

「ジュリエット様はレイ様が気になっていらっしゃるの?」

足元で、ちょこまかと私の寝支度を手伝ってくれるエリー。


「だって、レイってば気付いたらいつもどこかに行ってるんだもん。」


私が意識を取り戻してから三日が経った。
だいぶ回復した私は自力で城の中を探検できるまでになった。

足もかなり感覚が戻ってきて、寝返りをうてるまでに回復している。

「レイ様はお忙しい方なので。」

ふふふと笑いながら、ブランケットをかけてくれる。

「でも、エリー。せっかくだから私レイとお友達になりたいわ。きっと歳も同じくらいだし…」

レイとお話ししたくて、毎日城の中を一生懸命探すけど、全然見つからない。

寝る前に必ず訪ねてきて、癒しの魔法をかけてくれるし、おやすみも言ってくれるけど、本当にそれだけ。

「ふふふ、ジュリエット様はレイ様に構ってほしいのですね?」

可愛らしい唇で笑われる。

「なっ!違う!私はただ!!」

「レイ様は長く人とお会いしていないので、接し方を少し忘れているのかもしれません。
どうか、あのお優しい方のそばにいてあげてくださいな。」

ベッドライトのオレンジの光に照らされるエリーの笑みはとても優しかった。

「それに、ジュリエット様とレイ様、お並びになるととてもお似合いですわ。まるで絵画から抜け出てきたみたい!」

「エリーー!!?」
私は跳ね起きる。

「ふふふ、このお話はまた明日にいたしましょう。今日はもうおやすみなさいな。」

ベッドに押し戻されライトが消される。






「エリー?明日もっとレイのことをきかせてちょうだいね。」
「ふふ、かしこまりました。
おやすみなさい、ジュリエット様。」

部屋が暗くなって、扉が開く音がして、そしてすぐに閉まった。