「あぁ、目覚めたんだね。」

とっても柔らかくて、甘い声がした。

振り向いて、私は息が止まりそうになった。
そこにいたのは、美しい少年だった。

金色の髪は透き通るように滑らかで、サラサラと風になびいている。
肌はきめ細やかで白く、一層彼の中性的な美貌を引き立たせている。

全てが完璧な彼のパーツの中で一番引き付けられたのは瞳だった。

大きな碧(アオ)い瞳。

海のようで、空のような、透き通るきれいな碧だった。

どこか、別の世界の王子様みたいだった。
なんて美しい人なんだろう…

「君はここに着いてから、三日三晩眠っていたんだ。意識はしっかりしているかい?」

緩やかなローブを羽織ったその少年は、軽やかな動きでベッドに腰掛けた。
無駄のないその所作にまで見とれてしまう。

すぐそばで碧い瞳に覗き込まれて、私はぼうっとしてしまう。

「あの…私……」

「あぁ、いきなり驚かせてしまったね。
僕の名前はレイ。君は自分の名前は分かるかい?」

「私は…ジュリエット…」

「初めまして、ジュリエット」

にっこりとほほ笑む彼は天使のようだった。

至近距離で笑顔を向けられ、赤くなるのが自分でもわかった。妙にドキドキする…

「さぁ、僕は朝食の支度をしてこよう。リクエストはあるかい?」

レイと名乗った少年はふわりと立ち上がった。

「いえ、特には…」

「じゃあ、適当に支度しよう。しばらく待っていてくれるかい?」

「はい。」

再び私に笑顔を向けると、彼は扉の向こうに消えていった。