薔薇の夢をあなたに

あっという間に最後の団長の芸も終わり、私たちはカーテンコールに応える。
再び大歓声に包まれた私達。
王都ダスティアでの、初回公演は大成功のまま、幕をとじた。

「さぁ、明日も明後日も連続公演だ！
舞台の片づけと明日の支度を済ませたら、早急に休むように！」

団長の締めの一声で、私たちは各々後片付けに入った。

「ジュリエット。衣装のまま、少しこちらへ来なさい。」
楽屋に戻って、普段着に着替えようとしていた私だったが、
団長の声に振り替える。

「え？このままですか？」
「ああ、芸人としてのお前に、会いたいと言っている貴族の方がお見えだ。くれぐれも失礼のないように」

貴族…？そんな方がなぜ私に…？

「この街には一週間滞在するつもりだ、くれぐれも問題を起こさないようにうまく対応してくれ。俺もすぐそばにいる。」

「はい。わかりました。」

さっきのステージよりも緊張しながら、私は応接室をノックした。