勝手に古今和歌集

「ってか、夏木さんこそ、こんなとこで何してんの?


いま、授業中でしょ?」






きょとんとした顔で訊ねてくる犬飼くんの表情に、あたしはぐったりと項垂れた。






「………犬飼くんが、勘違いに気づいて、変な気起こしたんじゃないかと思って、慌てて出てきたんじゃん!


それなのに、もー、なんなのよ!!」






あたしはムカついて犬飼くんの背中をばしっと叩いた。





犬飼くんは「いてて」と目を丸くしてから、






「………か、勘違いって?」






首を傾げて訊いてくる。






「………だから〜。


あたしがサトシと付き合ってて、犬飼くんのこと好きじゃないって………」






「えっ!?」






あたしの言葉に、犬飼くんが大げさなほど仰け反った。