勝手に古今和歌集

「…………ななななにしてんのこんなとこで!?」






あたしが戸惑いながら訊ねると、ぱっと走り出した三毛猫をがしっと捕まえた犬飼くんが、へらりと笑った。






「やっと捕まえた〜♪」






くふふと笑い声を洩らしながら、犬飼くんは三毛猫に頬ずりをする。






「いやぁ、朝くる途中にこの猫見かけてね、めっちゃ可愛いからちょおっと一撫でしようと思ったんだけど、こいつすばしっこくて」





「はぁ………」





「悔しいから絶対なでてやるーって追いかけてたら、こんなとこまで追いかけっこしちゃったよー」





「………はぁ」






にへにへ笑いながら三毛猫と戯れる犬飼くん。





なんだか拍子抜けだ。




慌てて走ってきて損した気分………。