勝手に古今和歌集

―――がたんっ!!





静寂を切り裂く騒音に、あたしははっと目を覚ました。





その騒音とは、あたしが自分で立てたものだった。




つまり、居眠りしていてびくりと身体が震えてしまったわけだ。





恥ずかしさのあまり真っ赤になっていると、先生が、






「夏木ぃー、寝てたのか? 珍しいな」






とにやにや笑った。




あたしは「すみません」と小さく答え、ごまかすように窓の外に視線を移した。






そのとき。






「あっ」






思わず声が出た。





グランドの向こうにある校門の先に、犬飼くんの姿を見つけたのだ。