勝手に古今和歌集

でも、いつまで経っても、犬飼くんは姿を見せなかった。




いつの間にか、もう4時間目。



この授業が終わったらお昼だ。




犬飼くんはこのまま学校に来ないのだろうか?






いつもあたしの前にある、学ランの猫背がないだけで、やけに教室が広く感じるから不思議だ。





それに、休み時間も、振り返って話しかけてくる人がいない。




だからか、妙に時間が経つのが長い気がした。





なんだろう、この感じは。




なんて言えばいいのか………



ぽっかり穴が空いたみたいな。





あたしはぼんやりと頬杖をつき、数学の先生の話をBGMにして、窓の外を眺めていた。