勝手に古今和歌集

しかも犬飼くんは、ことあるごとに振り返ってあたしに喋りかけてくるのだから、何も効果が出ていないと言わざるをえない。





---それどころか。







「………最近さ。

俺たち、なんか距離が縮まったよね……」






なんて爆弾発言を、ふふふと低く笑いながらされた日にゃあ、あたしはひっくり返りそうになった。






確かに、犬飼くんは以前にも増して話しかけてくるようになったけど!!




あたしも、犬飼くんなんか好きじゃないんですよアピールのために、わざと素っ気ない口調で話しかけたりしてるけど!!





距離なんか縮まってませんからー!!




ってか、あたしは前より距離感じてますから-!!





というあたしの心の叫びは、窓の外の青空に虚しく消えていった。