「どっちかの家に行って遊んでは、一緒に寝てたよな。」


暗くてどんな表情をしてるのか分からないけど
声で懐かしんでいることは伝わる。


「…毎日のようにお泊まり会してたよね…。お互い理由もなく一緒にいた…。」


「……理由はあっただろ?」


「え?」


「一緒にいるのが楽しかったんだよ。だから、一緒にいたかったんだ。」


昔のことなのにドキドキしてきてしまう。


「そうだね…理由…あった…。」


一緒にご飯食べて、小さい頃は一緒にお風呂まで入ったっけ…。

未来のお母さんがプールに連れて行ってくれたり…

私の家族と未来の家族が一緒にバーベキューをしたり…。


「たくさん、たくさん…思い出しちゃうね…」


「楽しかったよな。」


良かった。
その言葉が聞けて。


ずっと、高校生になってからの未来は
昔の楽しかった記憶を思い出したくないのかと思ってた。

私といた時間はつまらなかったと思っていたらどうしよう、とまで考えた。

私ばっかり素敵な思い出として残っていたら…。


そんな不安は一気に吹き飛んだ。


雷の音なんて耳に入らないくらい嬉しくなる。

嬉しくて思わず笑みがこぼれる。


「何笑ってんの?」


「えっ??!未来…私の表情が見えるの?」

いくら目が慣れてきたとはいえ
細かな表情を読み取ることはできない。

「あったりめーだろ?お前のことなら分かるわ。」


ほら、ズルい。
また好きが積もっていく。


「そっかぁ…未来にはなんでも分かっちゃうんだね」


「俺を誰だと思ってんだよ?」


「ふふふ」


未来のそばにいるとホッとする。

胸がキュンとなる。



私はその幸せ感に浸りながら
そっと目を閉じた。