そして教室に入れば
「流星の皆様よぉーーー!」
「相変わらずカッコいいわぁ」
「一回で良いから抱かれたい」
と朝から下品な会話をする女子。
気分が悪く、気持ち悪い以外の何物でもない。
流石にずっと柚葉を拘束する訳にもいかず、解放すれば
「「柚ーー!」」
柚葉に群がるクラスメイト。
「寂しかったよ柚ぅー。」
「会いたかったぁー!」
と抱き着く女子に、
「ごめんねー。体調が悪かったの」
と笑顔で返す。
そんなやり取りを席に着いて見ている俺たち。
ちなみに、窓側の一番後ろが俺と柚葉。
その前が優と恭介。そしてさらにその前が薫。
俺たちは席が固まっている。
席に着いてから話す内容は柚葉の事。
「柚ちゃんって人気凄いね」
「ってか、柚葉ちゃんの存在ってありがたい気がする」
「俺たちに引っ付いてた女子を全員攫ってくれたからね。」
恭介の言う通り、柚葉が来てから俺たちに引っ付いてた女子は見事に全員柚葉の元に行き俺たちにくっつかなくなった。
ある意味ありがたい。
営業スマイルで接している、完璧柚葉を観察していれば
頬を赤らめ柚葉に接近する男子2名。
「しんど……」
「柚葉。」
「ん?玲央どうしたの?」
柚葉に話しかけようとした男子を遮って、背後から柚葉を呼び、抱き締める。
きゃーーと叫ぶ女子は煩いが、話しかけようとした男子を睨めば真っ青にして居なくなる。
満足した俺は、柚葉の肩に顎を置く。
「ちょっ……玲央?」
俺の行動に顔を赤くした柚葉は、俺の方に顔を向ける。
「っ……!」
俺の方に顔を向けた柚葉は案の定、顔を真っ赤にして固まる。
何故なら俺と柚葉の距離はあと1㎝程度しかなく、いつでもキスが出来るから。
「かっわい……」
思わずそう呟けば
「確信犯め……」
顔を背けられた。
キスしとけば良かった。
今更ながら後悔。
ただ、今居る場所は教室。
可愛い柚葉の姿を、他の男共に見せる訳にはいかない。
定期的に、見せびらかす為に公共の場でキスするけどそれ以外は基本しないし。
そんな事を考えながら、柚葉を席に連れ戻す。
もうすぐホームルーム始まるし。
担任の松下すばるは、俺たち流星の先代。戒さんの時の副長だった人。
怒らすと怖い為、すばるさんの授業は全員参加が暗黙の了解となっている。