柚葉が戻ってきた次の日。


俺たちは、ゴウの運転する車で柚葉ん家まで迎えにいく。


ちょうど良いタイミングで、下に降りてきた柚葉を車に乗せる。


「柚ちゃんおはよぉー!」

「おはよ薫。」


昨日から柚ちゃん呼びに変えた薫は、朝からウザいほどテンションが高い。


「柚葉おはよ」

「玲央おはよ」


隣に座るのを確認して

「出せ。」

学校に行く。


昨日から俺の前だけではなく、俺たちの前だけ素でいると言った柚葉は無表情。


少し悔しいと思うのは、言わないでおく。


学校に着いて車から降りれば


「「「「キャーーーーー」」」」


煩いメス豚……女子共の黄色い悲鳴。


それと同時に


「柚だっ!」

「2週間ぶりの柚だぁー!」

「相変わらず可愛い!」

「柚久しぶりぃー!」



「やべぇ、新藤さんだ。」

「一回でいいから抱きてぇ。」

「相変わらず美人だよなぁ。」



俺たちの場合は女子限定の叫びが聞こえるが、
柚葉の場合は男女関係なく、熱烈なラブコールが聞こえてくる。


「みんな久しぶりー!」


そんな周りの奴らに車内での無表情、無口から早変わり。

笑顔で……営業スマイルで応える柚葉。


「切り替えはやっ!」

「すげぇ人気…」

「もしかしたら俺たちより人気かもね」


と、小さい声で会話する俺たち。


でも、柚葉に人が群がる事はない。


何故なら、柚葉の腰には俺が腕を回っていて柚葉は俺から離れられないし

群がろうとする生徒を俺たちが一瞥し、睨みを効かせているから。


群がる事がなくとも、校舎に入っても鳴り止まない悲鳴とラブコール。


正直うざい。