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「えっと、つまり…

玲央は女が嫌いで、柚葉ちゃんは男が嫌いだからそれを利用って言うのかな……したってこと?」


「あぁ。」


薫が、普段は使わないであろう頭をフル回転させて理解した。


「まぁ二人の関係はわかったけどさ、

柚葉ちゃんはこんな時間にどうして来たの?門限とっくに過ぎてるよね。」


優に言われて今気付く。


時刻は19時30分。


柚葉の門限の18時30分はとっくに過ぎている。


「ん?あ……そうだった。」


優に言われて、何かを思い出した様子の柚葉。


「そうだったって?」


「いや……完全に目的忘れてた。」


柚葉は、時々抜けていると思うときがある。


「忘れてたって……ププ」


薫がそんな柚葉に笑いを堪える。


「まぁ、玲央との関係バレちゃったしもう良いかなって。」


「もう良いって?」


それは俺と別れる事なのかと、嫌な汗が流れる。


「みんなの前で笑顔でいること。」


「はっ?」


思わず、というか思いもしなかった答えに間抜けな声が漏れる。


「なに驚いてんの玲央。」


「いや、だってお前……」


「私が別れると思ったって?」


「……あぁ。」


柚葉には敵わない。


「私から玲央に別れを言うことなんてこの先、一生ないよ。
玲央が私と別れたいと思うまでね。」


「俺はお前と別れようなんて考えたくもない。」


なんて言っては見るが、これは2人にとってこれから先もずっと契約関係であろうと言っている話であって


決して、お互い想い合っているラブラブカップルの甘い会話ではない。

俺たちの事を知らない奴から見たら、そう聞こえるかもしれないが。


そして俺は、この会話が恋人同士の会話であったらと何度思った事か……。