そして沈黙の中、口を開こうとした柚葉より先に
「柚葉ちゃん、申し訳なかった。」
頭を下げ謝る恭介。
そんな恭介を見下ろす柚葉。
その顔からは、気持ちを読み取る事が出来ない。
「謝って済む事じゃないのは分かってる。でも、謝らせて欲しい。」
「別にいいよ。」
あっさりしている柚葉に
「「「はっ?」」」
「………」
4人して驚いた。
「だって恭介が言ってたこと、全部本当だし。
図星過ぎて言い返せなかったもん。」
ここに来て、初めて表情を崩した柚葉は苦笑している。
「………」
「それに、恭介は此処が大切だから
玲央の事が大切だからそう言ったまでの話。
恭介は悪くないよ。」
柚葉の倒れた原因は、明らかに恭介。
柚葉が俺の事を好きではないのは事実だが、恭介は言い過ぎた。
「いや、俺は言い過ぎた。
悪いのは俺だ。」
頭を下げて謝る恭介を気にすることなく
「私さ、別に謝って欲しいから来た訳じゃない。」
さっきよりトーンを落として冷たい声の柚葉。
「私は玲央の事が好きだよ?」
突然、違うことを言い出した柚葉に顔を上げる恭介。
「恭介に言ったでしょ?
でも、それには続きがあってね、」
一旦言葉を区切って
「友達として好き。なんだよ。
だから嘘じゃないでしょ?」
真っ直ぐ恭介を見据える柚葉。
「………。まぁ、確かにそうだね。」
「それに、玲央も同じ。
お互い、"友達として"好きなんだから」
柚葉の言葉に、顔を歪めた恭介。
恭介の言いたい事は分かる。
何故なら俺は柚葉を本気で好きだから。
それを恭介も薫も優も知っているから。
だけど、柚葉がそう思うのも元を辿れば俺なんだ。
俺が出した案を柚葉は呑んだだけだから。
俺も柚葉を友達として好きなんだと、本気で思っているから。
柚葉は悪くない。
「じゃあさ、なんで付き合ってるの?」
「確か、"契約"がどうとか?」
薫と優の質問に、隣に座る俺を見る柚葉。
私は大丈夫。
そう言っている様に思えて、
「それについては話す。」
こいつらに話すことにした。


