「「柚葉ちゃん!?」」
目を丸くして固まる薫と優に
「柚葉ちゃん……」
唖然とした様子の恭介。
そして
「柚葉っ……」
思わず柚葉を抱き締めた俺。
もう会えないと、諦めていた柚葉が目の前に居て
どうしようもない嬉しさが込み上げてくる。
強く柚葉を抱き締めると、俺の背中に腕を回す柚葉。
「玲央……会いたかった。」
少し震えるその小さくて弱々しい声は、しっかりと俺の耳に届いた。
「俺もだ。会いたかった…」
抱き締めていた力を緩めて、少し距離を開ければ
「っ……」
頬を赤く染めた柚葉。
普段見る事のないその表情に、柚葉から溢れ出る色気に
思わず息を呑む。
そんな顔されたら、今までブレーキしていた筈の気持ちが抑えられなくなる。
柚葉から想われるのを諦めていたのに、期待しても良いと思ってしまう。
期待しても良いのか?柚葉。
お前が俺をどう思っているのか、気になって仕方ないんだ。
でも、ここに来てくれたって事は
少なからず"そう思っても"良いよな。
柚葉から身体を離せば
「柚葉ちゃぁぁぁん!」
薫が柚葉に抱き着こうとする。
いや、突進する。
それをヒラリと交わした柚葉。
薫は柚葉の背後の扉に衝突。
ガンッ、と痛そうな音が聞こえる。
「ったぁ〜。酷いなぁ、柚葉ちゃん。」
鼻を押さえながら涙目で訴える薫。
それに聞く耳を持たない柚葉。
ってか、こいつらの前で猫被ってる筈の柚葉が今素でいる。
柚葉の変化に気付いてか、みんな柚葉に目を向ける。
「取り敢えず座れ。立ってする話じゃないだろ。」
全員立ちっぱなしって、なぁ……?
2週間ぶりに俺の隣に座った柚葉を見れば
無表情のまま表情を崩さない。


