玲央side


柚葉が倒れてから2週間が過ぎた。


今日から復帰する筈の柚葉が学校に来なかった。


それはつまり、柚葉は俺たちから離れることを意味していて。


学校から直で来た幹部室には、抑えようもない負のオーラーが漂っている。


そして主に落ち込んでいるのは恭介。


さっきから頭を抱えて

「はぁ……」

ため息を零している。


薫と優も、柚葉が来なくなってから元気がない。


俺も俺でまた落ち着かず、イライラしている。


何も出来なかった自分に対してなのか

柚葉の抱えてる物の大きさに気付けなかった事への悔しさか

恭介への怒りか


わからない。


分からないけど、イライラしている。


戒さんとの約束は2週間。

もう約束は過ぎたから柚葉に接触はして良い。


だから電話をしたんだが

柚葉のケータイは、幹部室のソファの下に落ちていた。


戒さんも今日に限って、電話が繋がらない。


俺たちが柚葉と連絡出来る手段はなかった。


家に行けば良いが、それで拒絶されたら立ち直れない気がして無理だった。


結局俺は、何も出来ない。


自分が情けなくて、無力だと思い知らされた。



時刻は19時。


先程まで静かだった下が、ざわざわと煩い。


何時もなら、薫か優が見に行くんだが


「「はぁ……」」


落ち込んでいる為か、下の変化に気付いているのが俺だけらしい。


恭介も頭を抱えたままで反応ないし。


俺も下に行く気になれなくて、放って置くことにした。



んだけど


ガチャ


と言うドアが開く音がして、全員の視線がドアに集まる。




そこに立っていたのは




恭介達の前じゃしないと思っていた





無表情の柚葉だった。