「俺の前で無理して笑う必要なんてねぇ。自分の思うようにしていろ。
俺の前では自分を作らなくていい。」
「うん……」
お兄ちゃんには、何でもお見通しだったらしい。
何を言った訳でもないのに、何でも分かってしまうお兄ちゃん。
"私"を分かってくれる、たった一人の理解者。
「お兄ちゃんありがと。」
「当たり前だ。」
そんなお兄ちゃんが、大好きで仕方ない。
「大好き……」
聞こえるか聞こえないかの小さい声で、お兄ちゃんに抱きしめられながら呟く。
「………」
抱きしめる腕に力が篭って、それに安心する。
「無理すんなよ。」
「うん…」
本調子に戻ってないからか、お兄ちゃんの腕の中でウトウトしてきた。
「おやすみ柚葉。」
「ん……」
そうして私は意識を手放した。
ーーーーーーー
暗闇で、もう一人の私が囁く。
さぁ、明日から完璧に。
完璧な新藤 柚葉を演じるんだ。
……いや、演じるんじゃない。
完璧に"なる"んだ。
不完全な私が起こした過ちは、
完璧な私で償う。
"みんなの完璧"な新藤 柚葉になって。
これが私の償い方。
誰も気づいちゃいけない
完璧な笑顔を貼り付けて
私は完璧になるんだ。


