朝リビングに行くと、
「臭っ……」
部屋中、酒臭かった。
テーブルには、酒を片手に酔いつぶれているお母さん。
「お母さん?」
水をお母さんに渡そうとしたら
パリン
振り払われた。
粉々に割れて、床に落ちるコップ。
「なんであんた普通なのよ」
「………」
私を睨むお母さん。
あれ……確かに。
昨日の今日なのに、何故か平然とお母さんに接している。
今思えば、この時から既に私の心は死んでいたんだと思う。
「あんたなんて産まなければ良かったわ。あんたなんて要らない」
「娘に男取られる私の気持ちわかる!?」
「屈辱よ!
あんたを産んだことが私の汚点だわ。」
「………」
興奮状態のお母さんを横目に、冷静な私。
「死んでやるっ!」
キッチンから包丁を持ってきたお母さんに、流石にマズイと思った。
「お母さんっ!」
止めようとお母さんの元に走ったけど、
「死んでやるぅぅぅぅぅ!」
ブシュッ
……間に合わなかった。
首を切ったお母さんは倒れて、辺りが真っ赤に染まっていく。
「お母さんっ!お母さんっ!」
「………」
お母さんを抱き寄せて、必死に声を掛けたけど
お母さんは既に冷たくなって来ていた。
「お母さんっお母さんっ!」
止めようとしても溢れ出てくる沢山の赤
赤
紅
朱
緋
ーー「何かあったら直ぐに呼べ。
必ず助けに行く。」
「あっ……」
不意に、お兄ちゃんとの約束を思い出した。
急いで電話を取り、お兄ちゃんにかける。
プルルルル
早く、早く出て。お願い。
ー「もしもし柚葉?どうした?」
「お兄ちゃん!お願い!助けて!」
電話に出たお兄ちゃんに助けを求める。
ー「っ!?今何処だ!?」
異常を察知したお兄ちゃんは慌てる。
「家……早く……お母さんが…」
ー「今すぐ行くっ!待ってろ!」
「う…ん…」
ツーツー
電話が切れた後、私は
「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ」
狂ったように笑い続けた。
涙を流しながら。


