好きの大きさ【番外編更新中】


そして、夏休みも明けて10月。


本当の意味での事件は起こった。


そう、あの日はいつもの様にあの男に犯されていた。

行為の最中だった。


多分、私が寝ているか確認しに来たんだと思う。


ガチャ


ドアノブが動いたのと同時に部屋に灯りが射した。


この男は気づいてないみたい。


私はヤバイと焦っていた。

顔には出さないけど、今までで一番焦っていた。


「……ちょっと!衛!なにやってるのよ!」


「はぁ…はぁ……あっ…美恵……」


お母さんに止められて、やっと気付いたバカ男。


「なんで柚葉なんかと……!」


すごいショックを受けているお母さん。


これは助けてもらえるチャンス、この地獄からようやく解放される。


そう思って助けを求めようとした。


「お母さん!聞いて!この男……」


「美恵……ゴメン。柚葉ちゃんがどうしてもって言うから…」


それなのに、この男は遮った。


しかも、私の所為にして。


私は一度もこの男を誘った事なんてない。

なに被害者面してんの?


「柚葉!」


それを信じて、

パン

私を叩いたお母さん。


叩かれた頬がジンジン痛む。


その様子を、後ろでニヤニヤしながら見ている男。


「お母さん!話を聞いて!」


それでも私はこの男の本性を伝えようとした。


なのに……


「人の男取って何が楽しいのよ!?
あんたなんて産むんじゃなかったわ!」

「あんたなんて要らないのよ!」

「消えろ!」


泣きながら罵声を浴びせるお母さん。


いつの間にか、あの男は居なくなっていた。


ズキッ


心が痛むのを必死に抑えた。


あぁ、所詮、お母さんもこの程度か。


娘を信じてくれないんだ。


娘よりあのクソ男を選ぶんだ。


別に良いよ。


今まで母親らしい事なんてされてなかったから。


最初から、期待なんてしてなかったから。


私に物を投げるお母さんを、只他人事の様に見ていた。


しばらくすると、ボロボロになった私の部屋。


投げる物が無くなったのか、部屋をフラフラと出て行ったお母さん。


私は、もうどうでもいいや、と思いその場で寝た。